【連載第6回】奥只見〜未踏の第4支流に入った日〜【渓流釣り】

渓流に限らず、釣りなんかやっていると、河川の流路形状によっては川を「本流」とか「支流」などと呼びますが、支流にそそぐ川はなんと呼ぶのか?

今回、福島県は只見川の支流のひとつ「叶津(かのつ)川」にそそぐ枝沢を訪れたのですが、そう!今までは「沢」と呼んでました。国土地理院の地図にも「◯◯沢」と記載されてますからね。

今日はそんな「◯◯沢」に入った日のお話です。

今シーズン、尺オーバーの大物を釣っていない自分としては、禁漁前に逆転ホームランを狙うため、「◯◯沢」の前にちょっとだけ「本流」の叶津川を攻める予定でした。

おっと!?言ってることが違いますね。さっきは叶津川を「支流」と言ってましたよ?

そうなんです。このへんがズバリ悩ましい問題なのです。

確かに叶津川は、本流の只見川の支流ですが、叶津川にそそぐ枝沢が複数ある以上、「叶津川の流域一体に住む住民にとっては本流扱いとなる」というゴリゴリな理屈が通ってしまうのです。

そんなわけで今回、地元では本流と呼ばれている「支流」を本流気分で釣り上がり、大物がゲットできない、もしくは魚影が薄ければ途中で出会う目的の「◯◯沢」に入るという算段です。

この日の天気は曇り、しかも午後からの降水確率は90%という、はるばる埼玉から4時間半かけて来たのに、まるで渓流の神様に見放された感じで気分はブルー・・・さらに序盤は魚影も薄く、テンションがダダ下がりになった時に今日初めてのバイト!

いや〜嬉しいファーストフィッシュ♪ 綺麗ですね!

美味しそうな塩焼きサイズですが将来に期待してリリースです。

このヒットを境に空模様も一変、辺境奥只見の祝福です。

その後、何本かのヒットはあったものの、ビッグヒットには至らず、とうとう目指す「◯◯沢」との出会いに到着、我々は本流という名の支流を捨て、支流という名の枝沢に進路を取りました(ややこしくてすいません)。

枝沢に入ってすぐのこと、怪しげな雰囲気が漂う広く緩やかな溜まりにロングキャストした1発目!

なかなかのサイズのイワナがヒット!

さらに同じ場所でもう1匹!体高も厚みも申し分のないイワナをゲットしました。このポイントでは面白いドラマがあるので、ぜひ動画をご視聴ください。

さらに1kmほど進むと、◯◯沢にそそぐ川(チョロ沢)と出会いました。

ここまでくるともうこの川の扱いはどうしたらいいんだ!?国土地理院の地図によればこの川にも△△沢という名前がついているのですが、「本流」「支流」といった流路で呼ぶ場合にどうしたら・・・まさか「沢」「チョロ沢」というわけにもいくまい。

んで調べました。すると「本流」に次いで流路が長く、流域面積の大きな川を「第一支流」を呼ぶそうで、以下「第二」「第三」となる模様。

ということで

只見川「本流」

叶津川「第一支流」

◯◯沢「第二支流」

△△沢「第三支流」

ということですな・・・

ふふふ・・・只見川が本流

そう思っていた時期が俺にもありました。

しかし帰って調べたら只見川は阿賀野川の第一支流ということが判明!!

ってこたぁ△△沢は阿賀野川の第四支流じゃねーか!!

阿賀野川からしたら孫の子(玄孫)!遠すぎて血縁も薄いわ!って

明治天皇と竹田恒泰かっつーの!

ハァハァ・・・(疲)

そんなこんなで魚影が薄くなってきた◯◯沢をこのまま進むべきか?△△沢に希望はあるのか? 同行者を調査に向かわせました。(自分はおにぎりを食う)

すると戻ってきた同行者いわく、出会いから100mの間に5匹ヒットしたと!

なるほど!だったら行くっしょ!第四支流!

結論から言うと魚影はとても濃かったです。尺超えとはいきませんが、アベレージで23ー24cmくらい。

純粋無垢でルアーを猛追するチェイスシーンが幾度となく見られ、とても面白かったです。

川が変わってイワナの体色も濃くなっていましたね。

色々な気づき、様々な変化、言葉はありませんが、自然は雄大に語ってくれます。

そしてそれは天候も・・・

青空の遙か向こうに感じた若干の違和感と頬を触った一瞬の冷涼感に、まだまだ釣りたい気持ちを抑えて納竿。帰りの自転車が停めてある川沿いの道路まで急いで1時間半。祈りながら川を下る。

川を下り、自転車まであと少しというところでようやく「ポツリ」と降り始めた。さらにここから宿まで自転車で30分、途中から雷を伴う激しい雷雨に見舞われ、全身ズブ濡れになりながらも何とか帰還。地元民が本流と言って曲げない「第二支流」は、朝方の静けさに反して激しい濁流となっていた。退渓の判断が30分遅れていたら間違いなく”詰み”であったろう。試合に負けたが勝負には勝った、そんな思いで濁流を見つめ煙草を吹かした。

こうして今年最後の福島釣行は終わった。以前にもこのコラムで触れたが、私が訪れるこの一帯の川は、長年の道路工事により一般車両は入れないでいた。さらにいうと、そのお陰もあって入渓者も限られていた。建設中の道路が開通した暁には当然のことながら訪れる人も増え、乱獲やゴミのポイ捨てなどは想像に難くないだろう。そうなる前になるべく多く訪れ、美しい只見の大自然を目に焼き付けておきたい。悲しいかなそんな思いである。

しかしながら最近はこうも思う。

SNSが普及し、特にYouTubeなどではキャッチ&リリースをする人が多く見られ、マナーが悪かったりモラルの低い人は叩かれる。そんな動画を見た視聴者に良識が刷り込まれ、だんだんと自浄作用的に良識の無い人が減ってくるのではないか?まぁキャッチ&リリースが魚に害がないかといえばクエスチョンだし、極論を言えば「釣りをするな」「山に入るな」ということなんでしょうけど、気持ちですよ。心の問題として、我々が釣りを楽しめるのは自然のおかげ。これを意識しながらフィッシングライフを楽しんでもらいたいものです。

さて、日が変わって帰り支度を整えます。名残惜しいのはいつものこと。宿の外に出るとたわわに実った稲穂がゆらゆら。只見は彼岸を過ぎてようやく稲刈りです。豪雪地域は田植えが遅いですからね。

帰りの途中、只見駅に寄ったら伝説の列車に遭遇しました。上下合わせても1日5本、貴重な只見鉄道です。

只見町の条例で「只見線の列車を見たら手を振る」というのがあります(笑)

なので住民でも無いのに一生懸命 手を振りました ♪

というわけで今回はこれでおしまいです。

また次回お会いしましょう!

執筆者のプロフィール

浄渓
浄渓
埼玉在住
奥多摩や奥只見を中心にルアーフィッシングを楽しんでます。テレスコロッドを片手に山深い沢を遡行するのですが、どうも最近、足の筋肉の衰えを感じ始め、釣り後に激しい筋肉痛に苛まれる今日この頃・・・
釣りに行かない休日はもっぱらメダカのお世話という寂しいアラフィフです(^O^)
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