【連載第2回】奥多摩の最深部にイワナの楽園があった【渓流釣り】

今年、すんごい久しぶりに奥多摩の年券を買いました。

そのことをここの管理人さんに伝えたら「奥多摩って魅力あります?」と。

ん〜まぁ確かに魚より人が多いイメージがあり、ネイティブトラウトに至っては軒並み食い尽くされた感もありますが、自宅から1時間ちょっとで行ける手軽さがねぇ……。

そこで取引先のTくんが、かつて奥多摩でトラウトをやっていたのを思い出し、奥多摩で撮れ高の高そうな場所を知らないか、ダメ元で聞いてみたところ……。

Tくん「とっておきの場所を教えましょう」

多摩川の本流と出会う支流は数多ある。その支流に注ぐ枝沢もまた無数に存在し、今回Tくんに教わった枝沢もそのひとつだ。しかし奥多摩というと、車で行ける林道からすぐに入渓できるポイントは開拓し尽くされてる感があり、「魚のサイズと量(濃さ)は入渓者の多さに反比例して小さく薄くなる」を持論とする自分からすると、やはりそれなりのサイズや数を求めるのであれば、当たり前だがそれなりにしんどい山奥に足を運ばねばならない。

御多分に洩れず、Tくんに教わった枝沢もかなりの奥地にあり、仮に坊主なら沢からの帰路、足取りの重さが平時の倍になる事は間違いないだろう……、

期待と不安が入り交じった新規開拓、教えてくれたTくんの為にも是非結果を出したい。

車から降り、装備を整え、今度は徒歩で林道を進む。これより先、林道は車の侵入を阻んでいるためだ。途中、林道から山に入り斜面を下る。目指す川の音が、はるか深山の奥深くから微かに聞こえる。道中、顔に蜘蛛の巣が絡みつくも思わずニヤリ、先行者がいない証だ。

その後、なんとか川が見えるくらいの場所まで来るも、斜面があまりに急でアプローチできない。一応ロープを持ってきてはいるが、使わずに入渓できるならそれに越したことはない。したがって安全に入渓できるポイントをひたすら探す。臆病なくらい慎重でないと、ソロでの山岳釣行はやめた方がいい。

どれくらい歩いただろうか? かなりの時間を費やし、ようやく入渓することができた。おそらく半径数kmに人はいない。苔むした巨大な倒木と、絶対に登れない両側急勾配に囲まれ、圧倒的な孤独感に押しつぶされそうになりながらも、退渓ポイントを見失わないよう、慎重にピンクテープを木に巻き付ける。

しかし目的は釣りだ。目の前の美しい渓流が麻薬のように先程までの恐怖心を麻痺させ、童心に帰ったようにロッドを振る。そして最初のポイントでそれはいきなりやってきた。ちょっとした落ち込みから反転流を生んでいるところへ、チャートカラー38mmのシンキングミノーを送ると強烈なバイトが!

岩の下に隠れようと相手も必死だがこちらも一緒。なんとか引きずり出して無事ランディング。オープニングからいきなりエンディングフィッシュか?という28cmのイワナであった。

その後も要所ではしっかりと魚影を確認し、チェイスも数知れず、ベテランアングラーであれば活性の高さも手伝ってかなりの釣果をあげたであろう。

ちなみにこの日、ヒットした魚は全てリリース。そうしたくなる楽園の神秘さのようなものを感じるから不思議だ。

この場所は3つの落ち込みが並んでいるボーナスステージ。しかもルアーのキャスト位置が抜群に良い。一番奥に投げてリトリーブするだけで、魚が居ればワンキャストで即ヒットするであろう極上ポイント、まるでスラム街を美女が裸で歩くようなものだ。

ほらね。

どんなに釣り上がっても魚影の濃さは変わらず、つい時が経つのを忘れてしまう。

そしてついにこの日の最終ポイント、魚達にとってなかなかに遡上が難しそうな滝下で45mmACT「夢源」をキャストする。しっかりボトムまで落とし、ジャーク&トゥイッチ、繰り返すこと数回、この日一番の強烈なバイトが右腕を伝った。

尺に僅か5mm足りない29.5cmのイワナを釣り上げることができた。

こんな感じで教えてもらったとっておきの沢でたくさんの魚たちに遊んでもらった。

半ば諦めていた奥多摩エリアに、まさかまだこんな場所があったなんて驚きだ。

久しぶりに楽しい1日で、Tくんにはひたすら感謝である。

執筆者のプロフィール

浄渓
浄渓
埼玉在住
奥多摩や奥只見を中心にルアーフィッシングを楽しんでます。テレスコロッドを片手に山深い沢を遡行するのですが、どうも最近、足の筋肉の衰えを感じ始め、釣り後に激しい筋肉痛に苛まれる今日この頃・・・
釣りに行かない休日はもっぱらメダカのお世話という寂しいアラフィフです(^O^)
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