達人に聞く バイク編 其の二 ペペモーターサイクルス・鳥山さんの巻
『達人に聞く』のバイク編・第二弾はプロの方のお話をお届けします。一口にバイクのプロといっても、いろいろな職業がありますが、ご登場いただくのは、身近でいて、とても大切な存在であるバイクショップのメカニックです。いや、メカニックであることは間違いないのですが、バイクショップのオーナーでもあり、ここらへんは紹介が難しいのですが、とにかく、バイクのメンテナンスのプロ、バイクショップ『ぺぺモーターサイクルス』の鳥山浩二郎さんに、バイクのメンテナンスのポイントをお伺いしました。
取材・文/管理人
写真/「サービスマニュアル」の写真以外はぺぺモーターサイクルスさんのサイトより。ぺぺモーターサイクルスさんのサイトの写真の無断転載は禁止とさせていただきます。
整備不良のメカノイズは悲鳴に聞こえる
まずバイクの鳥山さんが思うバイクの魅力は?
「免許が必要なことですね(笑)」
う……、「風が気持ちいい」とか「渋滞の影響を受けにくい」だと思ったのですが、意外です。
「あらためていうまでもないでしょうが、50CCのバイクは自動車の免許でも乗れるのに対して、それより大きな排気量となると免許が必要です。ということは、自動車とは違った技術が求められるということですよね。基本的には左右の手足を使うこともあり、自動車よりも難しく、健康やある程度の運動神経が求められます。逆にいうと、『健康でいよう』『体を動かすように心がけよう』と思えるので、そこが魅力の一つです」
なるほど。他にも魅力はありますか。
「見られていることを意識するので若くいられることも、その一つです。あとはバイクに乗っているときはみんな平等で、年収の多い方や社会的地位の高い人間にもでかい態度をとられないというのもありますね」
ど、どれも俺が予想したのとは違う答えですが、言われてみると納得です。
「私は『変態』なんですよ(笑)」
ぬう(あ、危ない……)。でも、変態という言葉、俺も好きです。俺は音楽のロックが大好きなのですが、ロック界で変態というと、かなりの誉め言葉なんすよね。例えばベースの変態というと、アメリカのバンド・Primus(プライマス)のLes Claypool(レス・クレイプール)が広く知られているのですが、彼の何が変態かというと、その超絶技巧です。
「私は超絶技巧は持ち合わせていませんが、やはり『変態』といわれると、誉め言葉に聞こえます(笑)」。
鳥山さんには、プロの整備士という顔もありますが、そちらから魅力を考えると……。
「バイクの好みが変わるのは、恋愛と似ているのですよね。バイクは、まるで人間のようだと思っています。手を掛けて、愛情を注ぐとバイクは応えてくれます。一方、整備不良による軋み音やメカノイズは、私には悲鳴に聞こえます。整備で手を抜くとバイクはよくなりませんし、いろいろなかたちであとで痛い目にあうことになります。いくら勉強しても足りなくて、バイクには一生をかける価値があると思っています」
ショップとしてのこだわりはありますか?
「こだわらないことがこだわりです。違法車輌は論外ですが、それ以外のものについては基本的には何でもやります。自分を必要としている人間に尽くしたいと思っているのですよね」
そこは変態ではないのですね(笑)。
「では少し悪態をつくとしたら、順番を守らない人や他人の都合を考えられない人の声は聞きません」
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