【プロのメカニックが教える】まずはサービスマニュアルの入手から【メンテンナンスのコツ】

真剣に主治医をみつけよう
 さて、基本の次はいよいよ応用ですね。
「はい。まず……、あ、時間が(笑)。やはり個々の車体に向き合うのが基本となりますし、人それぞれ技術が違うため、今回は大切なポイントだけ紹介します」
 はい(ゴクリ)。
「それは……、本当に信頼できる主治医を見つけることです」
 あ、俺はヘビースモーカーですが、今のところ健康ですよ。
「(笑)。いや、バイクの話です。主治医とはバイクショップのことですね。信頼できるバイクショップを見つけて、定期的に点検・整備をしてもらう。これに勝るメンテナンスはありません。もちろん、そのためには費用がかかりますが、そのための予算を捻出できる計画を立てるところも、バイクのメンテナンスの一つだと思います
 本当に人間と同じなのですね。病気やケガにしても、自分でできることには限界がありますし……。
「そうですね。意外と軽視しがちなのが、バイクショップの見極めなのですよね。私は、お客様にそのバイクの特徴、癖などを教えてもらい、しっかりとアドバイスすることがバイクショップの仕事だと思っています。個々の車体にきちんと向き合うのはもちろん、その車体のバイクの置き場やライディングテクニックまで、幅広くサポートしてこそのバイクショップです」
 す、すばらしいです。
「メンテンナンスではありませんが、例えばエンジンの始動の方法。前に管理人さんは『FIはアクセルを開かないことを最近になって知った』とブログで綴っていましたが、じつはそれはキャブ車でも同じです。キャブ車はチョークを使用し、加速ポンプのみであればアイドルスクリューを閉めて回転数を上げておきます。もしアクセルを少しひねらないといエンジンがかからないとしたら、それは不調もしくはアイドリングの設定回転数が低いということです」
 きゃ、キャブ車もですか⁉ う~ん、教えてもらった記憶はないっす。ずっと、少しアクセルをひねっていました。
「今やFI車全盛ですが、まだキャブ車に乗っている方も少なくはないと思うので、もうちょっとキャブ車の話をしますね。キャブ車のガソリンコックには負圧式と自然落下式があります。それを説明しないバイクショップもあって、キャブを腐らせてしまうことがあるのですよね。自然落下式、それは例えばヤマハのトリッカーやホンダのエイプなどに採用されているのですが、家に帰る1キロ手前ほどでフューエルコックをOFFにするべしです。理想は家に着くくらいでガス欠に近い状態。次に乗り出すときにタンクから新鮮なガソリンが使われるので、すぐに始動でき、セルモーターも痛みにくくなります。トリッカー以外でも、同じヤマハのセロー250、XT250X、ホンダのエイプ、カワサキのDトラッカーなどの少し前の型式でキャブ車のものは1週間ほど放置すると、キャブのなかのガソリンが劣化し、始動性が悪くなる傾向があります。毎回キャブのドレインから古いガソリンを抜けばOKなのですが、それは手軽ではありません。なので家に着く前にフューエルコックをOFFにするのがよいというわけです」

ライダーにはいつまでも健康でいてほしい
 鳥山さんのお話には、プロならではのこだわりを感じます。
人生とは何かを自分に問うと、私は誰かのために尽くすことだと思っています。それが生まれてきた使命であり、生きることへの原動力となります。できる人ができない人を支えるためには、人間は可能な限り勉強をして知識を増やさなければいけません。私自身、今回の取材で、あらためて、そう思いました」
 鳥山さんにとって、バイクショップは天職ですね。
「そう思います。でも、お客様を相手にする仕事なので、ストレスがないわけでありません。いや、自分の思うようにいかないことだらけかも……。それでも、自分も含めて、常に誰かと共存する世の中なので、自分以外の人間とかかわらなければなりません。ただ、バイクを乗るときには一人になれる。一人で好きなだけ乗りまくって思う存分楽しめます」
 確かに自動車とくらべても、ソロツーリングと一人のドライブとでは違う何かがありますよね。
「(ブツブツと)携帯出れなくても言い訳になる、一人の時間を十分楽しむと、なぜか他人にやさしくなれる……」
 と、鳥山さん、きれいにまとまりかけていたのに、変態が滲んできてますよ(笑)。
「( ゚д゚)ハッ! でも、そう考えると、結局、一人の時間は大切で、そうなれることこそがバイクの真骨頂かもしれませんね」
 まとまった(笑)。では、最後にライダーにメッセージをお願いします。
「一時期より減ったとはいえ、まだ暴走行為をする人はいます。そんな、ごく一部の人のせいで、バイクが反社会的にみられてしまうことはとても悲しく思います。ライダーには健全に楽しんでほしい。そして、健全に楽しんでいるライダーは体を動かして、いつまでもバイクに乗れるように健康でいてほしいですね」
 この熱い想い、普通のバイクショップとは一味違うという意味では鳥山さんは、やはり変態かもしれませんね(笑)。今回はお話を聞けて本当によかったです。鳥山さん、ありがとうございました!

ちなみにぺぺモーターサイクルスさんではカスタムされたカワサキ250TRをレンタルできます。くわしくはこちらまで。

【達人のプロフィール】
鳥山 浩二郎
静岡県浜松市のバイクショップ『ぺぺモーターサイクルス』のオーナー。ぺぺモーターサイクルスの情報はこちら。20才〜25才まで(株)オートサロンとしひろにて修行。26才ペペモーターサイクルス開業(2008年)。現在37才 ぺぺ12年目。最近、食べて美味しかったものは同じ浜松市内にある『HiroAina』さんのチーズバーガー。最近、導入したバイクのメンテナンス用の機材はバイク好きな変態な新人(いや、機材ではありませんが……)、欲しい機材は旋盤(現在は必要なときに外注となっています……)。

【バイク編/バックナンバー】
其の一 肉山☆のりこさんの巻 リーズナブルなバイクライフを絶賛満喫中です!

執筆者のプロフィール

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本サイトの管理人です。34はゲーム「クラッシュ・オブ・クラン」のアカウント名です。いや、名前なんかは何でもよいのです。大抵のゲームは、このアカウント名にしています。本職は紙媒体の編集&ライターです。
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