達人に聞く 釣り編 其の四 ピカレスクさんの巻
今回、ご登場いただくのは、ピカレスクさん(以下ピカさん)。俺がぜひともお話をお伺いしたかった方です。だって、フリーランスのリール修理士(いやはや、そんな言葉があるかはわかりませんが)なんて、珍しいではございませんか!? リールのメンテナンスはもちろん、その生き様にも興味津々。
実際に取材をしてみると、そのお話のおもしろさは想像以上。今回は永久保存版で……。できれば俺の本業の紙媒体で出版したいくらいです。
取材・文/管理人
写真/本記事の写真はすべて『リール屋ピカレスク!』様のHPより。
通学カバンのなかに振り出しロッド
そもそもピカさんは、かなりの釣り好きとのこと。釣りをはじめたきっかけを教えていただけますか?
「3歳くらいのときに親にサビキ釣りに連れていってもらい、それからずっと続けています」
3歳とは釣りの英才教育です。
「自宅から海が近かったのですよ。歩いて5分程度でした。それで、小学生になると投げ釣りや波止釣り、消波ブロックで穴釣りなどをやっていました」
小学生のお小遣いだとエサを買うのも大変でしたね。
「なので、ゴカイなどのエサは自分で調達していました(笑)。それに小学校の高学年になると、エサ代が掛からないルアーというものを知り、ブラックバス(以下バス)釣りに目覚めました」
着々とステップアップしましたなぁ。
「でも、悲しいことに、自宅の近所にはブラックバスがいる湖や池がなく、自転車で1時間程度のダム湖まで通っていました」
釣れていました?
「全然(笑)。だって、最初はルアーの使い方すらわからず、投げてそのまま放置していましたから……。釣れるわけないですよね(笑)。当時は専門書も皆無で、釣り雑誌にときどき記事が載っている程度。今と違い情報が少ないですから、ほとんど自己流でした」
ふむふむ、それでバスの最初の1匹は?
「ダム湖に通うようになって1年くらい経った頃にようやく釣れました。あのときは本当にうれしかったなぁ。それで、中学・高校とバス釣りにドップリ浸かりました」
当時、それは珍しかったのでは?
「同級生にも数人いました。でも、釣り場では日曜日や祝日でも、ときどき他の釣り人と出会う程度。平日は言わずもがなで、ほかの人とあうことは稀でした。おかげで釣り場は独り占めでした(笑)」
ピカさんは本当に根っからの釣り好きですね。
「間違いないです(笑)。学校に行くふりをしてそのまま釣りに行くこともありました。通学カバンのなかには教科書ではなく、振り出しのパックロッドとタックルボックスが入っていましたしね(笑)」
そして釣り好きの子どもが、そのまま大きくなったと。
「一時期、バスプロを目指しました。でも、賞金で食べていくことが難しいということで、バスプロは諦めました。賞金で食えないプロなんてプロとは思えなかったのです」
なるほど。でも、それは他のスポーツの世界でもあることで、例えばゴルフのプロがそうですよね。トーナメントの賞金で食べている人は限られていて、アマチュアにレッスンをしてお金をもらう、いわゆるレッスンプロもたくさんいます。そこは考え方次第かもしれません。
「確かに……。でも、当時の私は『バスプロには夢がない』と思って、プロを目指すことを諦めました。でも、バス釣り自体は大好きですから、その後も趣味として続けています。他の釣りもやりますが、いまだに一番行くのはバス釣りです」
行き場のないリールのために修理業をはじめた
バスプロを目指すのをやめたピカさんがリールの修理屋をはじめたきっかけは?
「まず学校を卒業して、普通に会社で働いていました。それで、所属部署がなくなるという話が出て、別の部署への異動か、退職かになり、退職を選びました。なぜ、退職を選んだかというと、包み隠さずにいうのなら、単純に勤め人がイヤになったからです。とくに人間関係やシガラミが面倒で……」
俺も本職はフリーの出版編集者なので、その感覚はよくわかります。
「退職したものの、とくにやりたい仕事もなく、しばらくブラブラしていましたが、やはり生活をしていくためには働かなくてはいけません。それで、もともとリールいじりが好きだったので修理屋をはじめました」
その発想はすばらしいですっ!
「今の話が本当のところです。でも、ちょっと後ろ向きなので、前向きなお話も(笑)。管理人さんはリールのメーカーが修理をしてくれる期限があるのをご存知ですか?」
え~と、部品がなくなると対応できないこともあるでしょうから、何となく限りがあるのはわかりますが……。
「だいたい販売終了から10年で修理対応が終了します」
それ以降はどうすればよいのでしょうか?
「シンプルにメーカーは対応してくれなくなるだけです。それに代理店が国内にない海外のメーカーのリールはメンテナンスをしてもらうのも難しいです」
段々話が見えてきましたよ。それなら、「自分がやってやろう」と思ったわけですね。
「そうです。行き場のないリールの修理やメンテナンスをしてくれるところがほしい……。でも、そういう業者はない……。それで自分ではじめました」
仕事を探さなくてはいけない時期に、やりたいことを見つけたわけですね。リールの修理業は最初から順調でしたか?
「全然。最初の数カ月は3日に1台くらい(汗)。あとは知り合いから頼まれる程度でした。あまりに暇すぎて、お店を開けたまま近所に釣りにいってました(笑)。事務所の隣で私のパートナーがお好み焼き屋を営んでいるのですが、店番を押し付けての釣行でしたからね。当然、収入がないので、夜間は清掃のバイトに行ってました」
うぅ、それでもよくぞ続けました。い、今ではどうですか?
「おかげさまで非常に忙しいです。職人が私1人なのでできる台数に限界があり、『いつごろ仕上がりますか?』と急かされることもあります。お待たせしているお客様には申し訳ないと思っています。お急ぎの場合はお店に直接持ち込んで頂ければその場で対応しています」
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